トロールを描いた絵本『ノルウェー トロルのふるさと』

テオドール・キッテルセン「自画像」 1888年
テオドール・キッテルセン(1857 − 1914)は、数多くの「トロール(トロル)」の絵を描いたことでも有名な、ノルウェーを代表する人気画家の一人です。
トロールとは、北欧の国々、特にノルウェーの伝承に登場する森の妖精で、様々な姿形のトロールが存在し、変幻自在に変身することもできます。
絵本『ノルウェー トロルのふるさと』では、キッテルセンの描くトロールの絵とともに、トロールにまつわる物語やキッテルセンの描くトロールの特徴が文章として添えられています。
画像 : 『ノルウェー トロルのふるさと』表紙
画像 : 『ノルウェー トロルのふるさと』
画像 : 『ノルウェー トロルのふるさと』
キッテルセンの描くトロールは、一つ目の森の巨人であったり、鼻の長いおばあさんであったり、また美しい白馬に変身することもある幻想的な生き物ばかりです。
キッテルセンは他の画家がトロールを描くと、「トロールを見たこともないくせに!」と気分を悪くしたそうで、彼の子供たちも、お父さんがトロールをほんとうに見たことがあると信じて疑わなかったそうです。
キッテルセンが描く、自分の年齢を考えるトロール
変わった特徴を持つトロール。ただ、基本的な性質としては、それほど知恵が高くなく、凶暴で粗野な存在のようで、ノルウェーの人々のあいだでは日常生活で物がなくなると「トロールのいたずら」と言うようです。
また、同じ北欧でも、地域ごとにトロールの印象は変化し、巨人ではなく小人であったり、幸福をもたらす存在として捉えられることもあります。
以下は、北欧でトロールの伝承がある地域です。
- ノルウェー
- デンマーク
- スカンジナビア半島
- フェロー諸島
- アイスランド
- フィンランド
- シェットランド諸島・オークニー諸島
トロールは多くの芸術作品にもインスピレーションを与え、たとえば、日本でもジブリ作品の『となりのトトロ』のなかでトトロとトロールの関係性を匂わせるシーンがありますし、世界的な児童文学である『ハリーポッター』にもトロールが登場します。
キッテルセンの画集は日本では出版されていないので、彼の作品やトロールの絵を見るなら、『ノルウェー トロルのふるさと』がおすすめです。