イーダ・イルステズの肖像

肖像画のモデルは、ハンマースホイ(ハマスホイ)の王立美術アカデミー時代の同窓生であるピーダ・イルステズの妹イーダで、ハンマースホイとイーダは1891年に結婚することになる。
その後もイーダはハンマースホイ作品の重要なモデルとして、彼の絵にたびたび登場する。
イーダとの出会いは、その前年イルズテズの住居を訪問したときと考えられ、一年の婚約を経て結婚。この絵の制作年は、二人の婚約期間中の1890年頃と推定される。
作品は、正装を纏った写真をもとにしたものではなく普段着のイーダを前に描かれた作品で、モデルとの距離感や緊張感を感じさせる肖像画となっている。
この時代、ハンマースホイはデンマークの正統派のアカデミーではまだ批判も多かったが、フランスでは批評家のデュレが「第一級の画家」と評価するなど、国外ではすでに評価が高まっていた。
制作年 : 1890年頃 / 技法 : 油彩、カンヴァス / サイズ : 39.7×32cm / 所蔵 : パリ、ノルディスク画廊