Vilhelm Hammershøi
ヴィルヘルム・ハンマースホイの世界
画家のこと

キッテルセンとトロール / 画家のエピソード

キッテルセンとトロール

ノルウェーの国民的画家テオドール・キッテルセンが描くトロール(北欧に伝わる妖精)は、まるでキノコや草花のように森のなかから生まれ出てきたように、違和感なく、自然な風合いで描かれています。

テオドール・キッテルセン「Creepy, Crawly, Rustling, Bustling」 1900年

テオドール・キッテルセン「Stooks of Grain in Moonlight」 1900年

風景画を描き、そこにトロールという空想の生き物を加えた、というのではなく、彼の描くトロールは景色に馴染んでいます。

ああ、きっとそうだったのだろう、と絵をみたひとに感じさせてくれます。

そして、そのことを象徴するエピソードを、キッテルセンの9人兄弟の末の息子のヘルゲ・テオドール・キッテルセンがのちに語っています。

キッテルセンの子供たちは、自分の父親がトロールや森の妖精たちと会ったことがあると信じて疑いませんでした。

キッテルセン自身、他の画家がトロールの絵を描くと、「彼がトロールの絵をかくんだって。トロールを見たこともないくせに!」と気を悪くしたそうです。

それくらいキッテルセンにとってトロールは身近な、確かなものとして存在していたのでしょう。